冬にしては暖かく、どこまでも青い空が続いていた日だった。
1人で門司港に向かう電車の中、自分の今の生き様についてempty、空であると日記に綴った。ただただ揺られながら、流れる窓の外の山々を見ていた。
岩田さん宅に着くと、海の近くに住む民族の研究者たちが各々の研究について熱く語っていた。私の隣には、少しも逃すまい、というようにカタカタとパソコンでメモを取る研究者。発表者の発言にうーんと声を出して反応する研究者。大雨の降る研究地からzoomを繋いで発表する研究者。知らない言葉、難しい言葉。
そして最後の研究者が発表を終えて、いよいよ新年会の幕開け。準備のために台所と広間を何度か往復した。岩田さんちの暗くて長い廊下には大きな鏡がある。1人だと少し怖かった。
鏡を通り過ぎると、ふすまがあってそこを開ければみんなとお料理が待っている。かまのお鍋2個にお刺身の盛り合わせ3台と魚づくしでかなり豪勢。みんなで料理を楽しみお酒を交わした。
研究者も岩田さんもみんな海外に住んだ経験のある人たち。私の右の研究者が「日本を飛び出してみるもんだよねえ。なんとかなる。」と言うとみんな大きく頷いて賛同した。
自分の訪れた国での出来事や文化の話をして共感しあったり驚いたり笑ったりして、あっという間に時間が過ぎていった。みんなの話は面白かった。大學堂や北九大のことを良く言ってくれる優しい人たちだった。終電の時間が近づいてきたからかえるくんと2人で帰った。
イルミネーションが門司港の木々を飾っていた。お昼は暖かったといってもやはり冬だ。日が沈んだ夜は寒い。深夜の車両には2人だけだった。貸切だねと笑い合った。お互いの好きなものの話をしたりして小倉に帰って行った。
私の心は行きの電車よりもずっと暖かく、満たされていた。
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