2022年3月31日木曜日

学会WEEK

 

ちょうど、大学2年生の春休み

そう、おかちゃんと同じくらいのときに

はじめて、学会に参加した。

沖縄で生態人類学会だったな。

あのとき石垣島でビンビンにとってもらった写真が

わたしのFacebookのプロフィール写真になっている。

ずっとあの写真だなぁ。

あの沖縄学会ツアーもちょー楽しかった。


「はじめてみた、太陽の塔」


今回は、滋賀県で開催された。

今回の京都・大阪・滋賀旅は

私的には、この週を乗り切れば、もう発表はない!!

という、頑張る週間な気持ちだった。


「ぶーぶーぷーぷー」


研究会・生態人類学会・オセアニア学会・若手WS

学部生のころは、勢いで学会に参加していた。

でも、なんていうのかな

リアリティが違うというか

博士学生になって、学会に参加して

絵の色がすごい増えたし線も増えた感じ。


「京大の院生と火鍋」


フィジー が楽しみ。いけるかな



















2022年3月28日月曜日

春がきた

 今年も桜が咲いています。

毎年毎年、同じように同じ花が咲いています。


さくら並木をお昼ご飯を持ってサイクリング。



今年もさくらは、モリモリです。

2022年3月26日土曜日

ドキュメンタリーとヒップホップの春

3月15日~24日頃、北九州を離れて京都、大阪、岐阜、東京へ行った。

北九州の家を出たときには東京に行こうなんて全く思ってなかったし、思ったより長旅になった。

16日は、大介たちが学会に行っている間単独行動。京都dddギャラリーで企画展「もじのうみ: 水のような、空気のような活字」をみた。ヒラギノフォントや游明朝などの書体を設計した鳥海修さんの「仕事」の展示だった。
フォントのオタクだった人間にはたまらない空間。






慣れない土地で時間を潰すのって案外難しい。

映画観たいな、と思って調べると、京都シネマで「テレビで会えない芸人」を観られることに気づく。気になってた映画だ。
ねずみ男やガーデンズシネマ(私の地元鹿児島の映画館)がSNSでプッシュしていた記憶がある。
上映前に軽く調べていると、鹿児島の放送局が制作したドキュメンタリーであることを知る。あ、だから鹿児島の映画館がプッシュしていたのか。

こんな調子でなんとなく観たけどすごく良かった。
かつて政治や社会問題のネタでテレビに出演し活躍していた鹿児島出身の芸人、松元ヒロさん。
徐々にスポンサーから政治家の名前を出さないようになどと注文をつけられるようになり、活躍の場を舞台に移していった。今、彼の姿をテレビで見ることはない。
こうした状況に危機感を募らせた鹿児島テレビの四元良隆さん、牧祐樹さんが監督を務め、テレビ番組として制作されたのち、映画版ができたという。

「私から語る世界のこと」講演会の頃に考えていたことを思い出す内容だった。





3月21日。
私の今回の旅のメインのひとつは、みんぱく映画会「ヒップホップから見た現代モンゴル社会―映画『モンゴリアン・ブリング』から考える」へ行くことだった。


特別展「邂逅する写真たち──モンゴルの100年前と今」の会場に人類学者の島村一平さんがいた。私は口下手なのでかなり逡巡したが、話しかけた。
島村さんは優しく朗らかに話してくださった。名刺をいただいた。

先生は誰かと尋ねられたので竹川大介だというと、すぐにああ!と反応が返ってきた

「ご存知ですか?この前もここに来てたと思うんですが……」
「昔、頼まれてモンゴルで学生さんを案内したことがありますよ。10年くらい前だけど……」

「上にヒップホップのコーナーがありますよ」と言われて2階に行ってみると、ちょっと薄暗いクラブ風の空間でなんとモンゴルヒップホップのMVが流れていた。みんぱくで……!胸熱の光景。







私が特に好きなモンゴルの曲はこれ。


映画「モンゴリアン・ブリング」は、島村さんの著書「ヒップホップ・モンゴリア」が出た頃にその存在を知り、観てみたいと思っていたが、公開が10年ほど前の作品であり、ネットで観ることもできない(はず。多分。)から貴重な機会だし楽しみだった。

映画で印象的だったことが2つ。

まず、映画の中で出てくるモンゴル語ラップのリリック(歌詞)の多くがポリティカルで、しかもそれが政治家への直接的なメッセージになっていること。
ラップが政治的なテーマに言及するのは珍しいことではない。アメリカでも日本でもそうだし。

(日本のポリティカルラップについてはこの記事がとても詳しい。https://bobdeema.hatenablog.com/entry/2018/12/10/012817流し読みでもすれば、とりあえずどんな曲があるのか分かるかと思う)

でも、私の知っているポリティカルな日本語ラップの多くが「自分から見た世界の描写」や「自己言及」「大衆への呼びかけ」であるのに対して、モンゴルでは「政治家への呼びかけ」が主流らしいのだ。


国のお偉いさんたち
あんたたちは、自分の親族やお仲間たちだけに
徳を施すのはやっちゃいけないことでしょうが。
法律って誰に有効なもんなんっすか。
貧しい国民を抹殺するためにつくった命令ですか。

 

これは映画に出てきたリリックじゃないけど、こんな調子で政治家へのメッセージを織り込んでいることが多い。(少なくとも、映画ではそうだった)
この、政治家や権力者への近しさは何なんだろう。国の規模なのか、民主主義への考え方の反映なのか……

もう1つの印象的なポイントは、ラッパーたちが「(ラップでは)自分の意見を言える」と強調していたことだ。
ラップの「一人称」性は日本語ラップ批評でよく指摘されることであり、私が日本語ラップを好きな理由の一つだが、それはモンゴル語でも変わらないのだと知る。

「一人称」のラップがリスナーとの距離感を縮める(縮まったように感じさせる)ことが、上記のような政治家との「近しさ」をも可能にしていることにも気づく。

一人称の重要性はねずみ男(森田達也氏)がよく指摘していることだが、ドキュメンタリーとラップ/ヒップホップはすごく相性が良いと思う。

「テレビで会えない芸人」で問題提起されているような状況を打破する力を持っているのは、ラップ/ヒップホップやドキュメンタリーなのではと本気で思う。

松元ヒロさんのスタンダップコメディもまた、「一人称」の「語り芸」であるという点でラップと類縁性があるということも指摘したい。目の前にいる人(スクリーンの向こうにいる人、でもいい)の一人称の語りは、聞き手に強烈な当事者意識を持たせる。この当事者意識こそが社会を動かし得るのではないだろうか。


川崎区池上町をホームタウンとするクルーBAD HOPについてのドキュメンタリー動画


3人のラッパーの語りを中心に、現在の日本のヒップホップシーンを概観するドキュメンタリー動画


(なお日本語ラップと一人称については、韻踏み夫氏のWEB連載「耳ヲ貸スベキ!――日本語ラップ批評の論点――」https://note.com/bungakuplus/n/n07dfb73c6c0fに詳しいが、公開期限が過ぎた後は有料記事になっている。最新回は無料で読める。私は初回以外はローカル保存しているが、書籍化を待ち望んでいる。上記の私の主張は、この連載から多大な影響を受けたものである)

アジア×ヒップホップという観点?で観てみたい映画としては他に空族の「サウダーヂ」もある。


映画の上映後のトークイベントもすごく良かった。
ラッパーのHUNGERを初めて見る場所がみんぱくになるなんて……

HUNGERは、映画にも登場したモンゴルのラッパーQUIZAと共に曲を制作しているのだが、その経緯が面白かった。

2006,7年頃に彼がモンゴルへ旅行に行った際、地球の歩き方に「モンゴルではヒップホップが流行っている」と書かれていたらしい。
驚いた彼はQUIZAらが出演するライブの会場へ行った。モンゴル人の友人に、QUIZAに会いたいと言うと「人気者だから無理だよ」と言われたが、HUNGERは「ラッパーなら、日本人のラッパーが会いたいと言っていると伝えれば会ってくれるはずだ」と譲らず交渉した。するとQUIZAは本当に会ってくれた。開口一番「日本にもヒップホップあるの!?」と言ったとか。

HUNGERの「フィールドワーク力」がすごいし、ラッパーの「会ってくれる」感じってモンゴルでも変わらないんだなあと思う。



3月23日。
最後の目的地、東京。目的はヒップホップ系のライブに行くこと。
京都滞在中に開催が発表されたイベントにどうしても行きたくなった。

北九州にいるときなら、流石に東京だし……と諦めていたと思う。でも、京都からならまあ……と思った。いけるんじゃね?と。
別に京都と東京が近くはないのは分かっている。でも、北九州にいるときよりは近い。

それに、どうしても見たい出演者が複数いた。この機会を逃したら絶対に後悔すると思ったし、行って後悔することは無いだろうと思えたので行くことにした。

ヒップホップは"現場"、ライブなどの会場へ出向くことを重視する文化だ。
ラッパーが打ち出す「リアルさ」を消費するだけでなく、実際に会って話をして、彼らの素を垣間見ることで自分自身の「リアル」な経験へと接続することが大事だと私は思う。

ライブ会場はフィールドだ。いくらSNSや音源からラッパーの「リアル」を感じようが、それが現実の体験と接続しない限り、それは自分のイマジナリーラッパーでしかない。だから、本気で好きなラッパーのライブは最低1度は必ず行きたい。(これは無茶な状況でライブへ行くことへの言い訳だ)

("現場"云々と言うならイアン・コンドリーの文献を読むべきと分かっているのに、入手が困難で読めていない。あとヒップホップの文脈で使われる「リアル」という言葉については解説が必要だろうけどここでは割愛。)


そんなわけで行った幡ヶ谷。想像以上に良かった。後悔どころか行った自分を褒めたい。

ライブ後、好きなラッパー(複数)に話しかけた。

「(しばらく京都に滞在してたけど)家が北九州です、今日はあなたたちのライブを見るために来ました」みたいなことを伝えた。

でかい音が鳴っていて会話には不向きな状況だったし、私は会話が下手なのでその場はそのくらいでホニャ〜と終わった。



私としてはそれで十分満足だった。良いライブだったし、好きなラッパーたちと同じ空間にいられたし、自分の伝えたいことは言えた。
幸せな気持ちでホテルに帰り、スマホをいじっていると、目を疑うような通知が立て続けに来た。
私のSNSの投稿に、演者の2人がリプライしてくれた。私のアカウントが好きなラッパーからフォローバックされた。イマジナリーだったものが現実に接続した!


2022年3月22日火曜日

霞みのうちにこぐ舟は

 

【京都駅2番ホーム】

乗客の列の一番前にいるのだが、この目の前に張られた数本のワイヤーはどう動くのだろう?まるで分からない。確かにこれなら転倒して線路に落ちる人は少なくなるだろう。ワイヤーそのものも少し緩めに張られているから、強くぶつかったとしても跳ね返って倒れることもないだろう。しかし乗り降りの際に、これはどう動いて道を開けてくれるのか?―――答えは簡単、ワイヤーの両端が繋がれている機械が上に伸びーるだけである。この機械に私は気がつかなかった。ハンバーガーを食べる際、レタスや魚のフライが、図らずもバンズの間からにゅっと飛び出ることがある。あんな感じで、乗客が乗り降りしない時間帯は、ワイヤーが繋がれた機械が戸袋に収納されている。はたから見れば、戸袋どうしがワイヤーで繋がれているように見えるっちゅうわけよ……この機械が稼働する瞬間だけ見られる広告、なんてものがあればいいのに。毎日のようにポストに投函される、水道屋やデリバリーなんちゃらの広告を思い出しながら考えた。

私を乗せた満員電車は滋賀県・近江八幡駅へ向かう。あの鳥籠のような特徴的な駅を窓から見やると、巨大な亀の怪物と触手を振り回す怪物が殴り合いをしていた。雨はしょうしょうと降っており、亀の腕から流れる血と混ざる。鳥籠は瓦礫の山と化し、ひとりの少女が「ころして」と叫んだ。走り出した電車は止まらない。

 

【近江八幡駅】

 近江八幡市は、琵琶湖の東側の地域である。私とともに近江八幡駅で降りた客は、ほとんどが中高生だった。上は真っ青なジャージで、下は学生服の中学生。重い教材が入っているのだろうか。たいした量は入っていないようだが、カバンがやたら下に垂れ下がり、紐が肩にくいこんでいる。勝手が悪いのか、何度も肩を回し、腕を上げ下げしている。私は暖を取ろうと、改札を出て左手にあるコンビニに入った。高校生らしき人物がパンのコーナーを見つめていた。着用していたウインドブレーカーには、「OSAKA TOIN」の刺繡が刻まれている。野球で有名な大阪桐蔭か。電車やバスがあれば、県境をまたいでも学校に通うことができる。とても良いことだ。制服の集団に混じってコンビニを出て、北出口に向かう階段を降りると、白い箱がコインロッカーの横に置いてあることに気がついた。

 箱には、赤字で「有害図書追放」と書かれている。赤字が書かれた面の反対側には、「環境浄化」と書かれている。これが世に言う白ポストか。健全な青少年に触れさせたくないポルノビデオや下衆雑誌の掃き溜めである。大勢の人の目につく駅前に設置して誰が持ちこもうか。知人や家族と出くわしたらどうする。試しに少し揺らしてみたが、とても軽かった。これについて面白かったのは、「これはゴミ箱ではありま 」と、ポストに書かれた文章の最後の文字が消されていたことだ。何者かのささやかな抵抗か、ただのイタズラか。あれやこれやアホらしいことを考えている最中、背後をひとりの人物が横切ったことに、私はまだ気づいていない。

 

【篠原さん】

9時に集合と聞いていたが、野研メンバーはレンタカーでやってくるという。車なら、30分ぐらい遅れてもしょうがないだろうな。コンビニのイートインで何か読もうか。そう考えていると、スマホに「ちょっと遅れる。篠原さんはもう来ているはず」というメッセージが届いた。遅れるのはいいけど、篠原さんがどんな人かわからない。しばらくうろうろして、青いリュックを背負った人物に目星をつけた。 

「すみません、篠原さん、ですか?」

「!はい、そうです」

ビンゴ。当たりだ。篠原さんは朗々とした声の持ち主だ。

「ああ、よかった。北九州から来ました。上田といいます。今日はよろしくお願いします」

「どうも、よろしく。君は車ではないの?」

「僕は今日から合流なんで」

「そうなのか。ええと、910分ぐらいに着くと連絡があったんだけどね」

と、篠原さんは腕時計を確認した。

「まだ、来てないみたいですね……」

「う~ん。ところで君は、出身はどちら?」

「宮崎です」

「宮崎か!宮崎だと…黒木さんが多いんだっけ?」

「黒木と日高が同じくらいで、次にカワノ、ですかね」

 なぜだろう。次から次へと、ポンポン喋ってしまいそうになる。会ったばかりだが、話をしていて楽しい。この人とは安心して会話ができると感じられる声色、というものが誰しもにあると思う。意外なことを言われても、その日眠りに落ちるまで、じっとりとその言葉について考えられる声色。

相手によっては、話をしているとゾワゾワ、チクチクしてくる。目が眩みそうになるときもある。ねじ切れた心根がウズウズしており、その攻撃的で嫌な揺らぎが陽炎のように身体から漏れ出たものの集合体が、その人の声色なのだと感じる。同じ場所に留まると、自分にもその揺らぎが寄生する。こうした危険を感じると私はもう、その人の話は何も耳に入らない。存在すら感じたくない。この感情には私の偏狭さも作用している。

「カワノというと、サンズイの『河』?」

「そう。サンズイの河です。コウノさんと読む人もいます」

「ははあ、僕の知ってる人はサンズイの河でコウノさんだ」

甲斐とか興梠とかも多いですよ、と言いかけたところで車がやってきた。ワイパーがあがると、車内に皆がそろっているのが見えた。琵琶湖ツアーの始まりである。

 

【流れゆく近江】

車が発進するやいなや、篠原さんによる近江商人や滋賀のお城の解説がはじまった。

「あそこには山城があった。今は石垣だけが残ってるけどね」

あの山には、あそこの向こう側には、と方々を指さす篠原さんの解説は止まらない。あれですか、あの山ですか?と確認するので精いっぱいだ。

「安土城、長濱城、坂本城、大溝城の四つを線で結ぶと、平行四辺形になるんだ」

この解説を聞いたときは、なんだか「太陽の道」や「近畿の五芒星」などのレイラインのようではないかと感じた。

「ちょっと珍しいものがあるから、見に行こう。」

案内された場所は、まっすぐ伸びた道沿いに広がる畑地だった。遠くまで畑が広がるなか、墓地が見える。

「君が今立っているその場所を、信長が歩いたかもしれない!」

車から降りたカエルの足元の地面について一言述べ、墓地まで歩く。

 

【両墓制】

案内された墓地は、普段目にする墓地とは全く様相が異なるものだった。木の柱が刺さっているだけのようだ。これは両墓制と呼ばれ、遺体(遺骨)を埋葬する墓と、遺族が参拝する墓の二つ存在するらしい。この木の柱が立っている場所に故人を埋葬し、遺族は別の場所に、あの見慣れた四角い墓石を建てて参拝する。



よく見ると、屋根の形や反りが異なっているのが分かる。バッキリ折れているものもあり、傾いているものもある。卒塔婆を刺したものもある。立てたばかりの墓は新築の建材のようにも見えたが、「い8」とか「に4」などの座標は、もちろん書かれていない。

 

【琵琶湖を辿る】

墓を後にして、しばらくのあいだ琵琶湖のそばを車で走る。

「もっと天気が良かったら、きれい見えるんだけどね~」

琵琶湖ツアー中、篠原さんは悔しそうに何度も「天気が良かったら」と口にした。よほどきれいなのだろう。

「琵琶湖のまわりには、ほら、あれ(車が走る方向を指さして)!松が生えてるんだよ。松は塩に強いから海のまわりに植えられることはあるけど、琵琶湖は海じゃない。大昔の人たちが勘違いして植えたのか?うーん、わからないんだなあ」

篠原さんがいうように、琵琶湖のまわりには松の木が列をなしている。

「このあたりは、今は普通に道路が走っているけど、昔は内湖だらけだった。埋め立てて、今にいたる」

見渡す限り田畑のこの地域は、埋め立てでできた土地だった。莫大な費用がかかっただろうし、埋め立てるための土はどこから引っ張ってこれたのか?―――それはまわりの山だった。さらに、内湖の下の土を掘り返して使用したという(ここは記憶が曖昧。要確認)。

 ここまで「そうなんですか」だの「へぇーえ」だの「ふんふん」だの、あいづちしか打てなかったが、土の話を聞いてふと浮かんだ質問をしてみた。

「弓道の的を置く土壁を安土っていうんですけど、安土城の安土と何か関係があるんですかね」

「ほう。安土っていうの?それは知らなかった。うーん、どうだろう。分からないな」

確かな答えは得られなかった。

 

【果ての菅浦】

ずいぶん長いこと車に乗っている。菅浦は遠い。隣に座る篠原さんは、来ているジャケットをときおり引っ張って整えようとする。理由は簡単、私の右尻が篠原さんのジャケットの前裾を踏んづけていたからである。わざとではない。

今日のメインの場所と言ってもよい、琵琶湖の果ての地・菅浦。この地域に至る道中、大浦という地域を通る。中世の頃、この大浦の民と菅浦の民は自治組織「惣」を結成し、土地の領有権を争っていた。そこで菅浦の人々は四足門と呼ばれる門を設置し、番人を常駐させたという。現在は西と東の門が残っている。

西の四足門

お寺





東の四足門


「歴史をかじってる人に『菅浦を見てきた』と言うと、ちょっと自慢になるよ」

 

【雨森の高月】

菅浦から戻る途中、高月という地域を通った。ここは儒学者・雨森芳洲が生まれた場所である。朝鮮外交にもかかわり、いわゆる善隣外交に尽力した人物だ―――という解説を受け、私は口を滑らせた。

「韓国の人たちの間では有名な人なんですか?」

「日本でも有名だよ!無教養やな、君!」

まったくその通りである。

 

【賑わう草津】

 日が沈む頃、私たちは草津にいた。帰宅ラッシュの草津は人も車も多く、駅前の車はみな徐行していた。草津は現在、人口増加を迎えているという。もしやこの人だかりの中に、私と一緒に朝の京都の満員電車の一部となった人がいるかもしれない。人だかりの中を歩くと、ワクワクしてくる。強さを増す雨粒の間をかいくぐり、ビルの入り口を奥へ進んだ先に「創作おでん割烹 酔蓮」があった。

 料理が届くまでのあいだ、琵琶湖の魚の話や、これまで手掛けた書籍の話を聞いた。料理の前にお酒が届いた。お酒を出す速さはとてつもなく大事である、と誰かが繰り返し言っていたのを思い出した。鼻がいまひとつ効かないので、いつも以上にはじめの一口を味わっていると、小鉢に入った料理が運ばれた。小海老が美味かった覚えがある。

 篠原さんの話を聞いていると、和歌にも造詣が深い人だと感じた。私はここでも「ふんふん」と相槌を打つばかりだ。お猪口は、底がギターのピックのような丸みを帯びた三角形で、口縁は丸い。底から口縁に向かって指を滑らす。三つの角がしだいに溶けていくあたたかさが、菅浦から眺めた乳白色の湖と重なる。

 やはり相槌ばかりもいけないと思い、何か言えないだろうかと、たゆたう思考のなかを泳いでいた。すると、「あそび」についての話が始まった。ここだ。ここしかない。一杯飲んで

「たわむれせんとやうまれけん、と言いますもんね」

と振り絞る。

「梁塵秘抄、だね?」

ささやかではあるが、言葉の応酬をひとつ果たすことができた。

2022年3月20日日曜日

湖畔巡検

ブラトオル琵琶湖菅浦編。繰り出される蘊蓄に圧倒されながら、琵琶湖を巡る。贅沢なツアーだ。


琵琶湖東岸の両墓制の埋め墓。


海の海賊、湖の湖族。


湖族の村の自治をあらわす、菅浦の四足門。



日本の歴史の裏街道を学ぶ湖畔巡検。 日本のことなのに見たことのない風景や、知らないことが多いものだ。 また歩きたい。

2022年3月18日金曜日

太めパフォーマンスのパフォーマンス

 2022年3月18日(金)

去年のWAKAZONOタウンパレードに来てくれていた太めパフォーマンスの新作ダンス公演というのに行ってきました。はつめが誘ってくれたのだけど、野研メンバーの半分くらいは京都に行ってて、あとの人たちも、なんだか都合がつかないようで、私だけでした。

https://magazine.confetti-web.com/special-interview/9300/

ダンス公演の経験値があんまりないので、ちょっとよくわからんかもと思いながら行きました。

アイアンシアターは満席で、お客さんの期待がふくらんでいる雰囲気。良くわからないけど、ひどいことにはならなそうなので、安心して座っていました。

はじまってしばらくは、そのダンスから何をどう理解していいのか良くわからなくって、他のお客さんが笑ったあとに遅れて笑ってみたりして、なんだか、外国語のお芝居でも観ている気持ちでした。

ダンスの中の記号みたいなのを読み取ろうとしすぎているのかもと思って、あんまり理解しようとしなくていいのかなと思ってみていたら、楽しくなりました。どこがいいとか、何が素敵とか、あんまりわからないんだけど、なんだかみていて気分が良くなりました。

結局なんだかわかっていないんだけど、1時間ずっと躍動的に動いているってすごいなと思いました。そんなのダンス業界ではあたりまえなのかな。そして、躍動的に動いている姿は、なんだか心に響くものだなと思いました。

ゼミ室でチラシを作っていた人たちも、ちょっと手を休めて観に来たら良かったんじゃないかなと思いました。小倉にいる人たち、明日もチャンスがあるよ。

そして、明日の昼公演だったら、ちょうど、枝光商店街の二十日市をやってて、手作りマルシェなんかもあるらしいから、おすすめです。

https://mrs.living.jp/fukuoka/shopping/reporter/4568699



2022年3月7日月曜日

「文楽」の日

 人形浄瑠璃「文楽」を見にいき、そのあと大庭三紀さんからのお誘いで人形遣いの吉田玉男さんと、太夫の豊竹咲寿太夫さんとともに食事をしながらお話を聞いた。ふだんあんまりこういう写真を撮ることはないけど、ここはひとつミーハーに写真をお願いしてしまった


もう一つの写真は昨日の演目、曽根崎心中の床本。豊竹咲寿太夫さんは、徳兵衛の大役だ。このあと目の前で一節唸っていただいた。ビリビリくる。


きぞくとこはむも見に来ていた。みんなも見たらいいのにと思った。人形浄瑠璃は日本の古典芸能の中でも、渋くて深い。