2023年2月5日日曜日

日本昔話

WAKAZONOタウンパレードでの、ライブペイントのお誘いのために黒田征太郎のアトリエを訪ねる。



福祉とか共生とかいう話から、なんだか最初は不審そうな雰囲気だったけど、大學堂のメンバーと知って「なーんだ」という感じになる。麿赤兒と大學堂に丼食べに行ったよと、うれしそうに話してくれる。でも、きっと野研の人は誰も気づかなかったと思う。そのときも、いまも。

野坂昭如も黒木和雄も寺山修司も岡林信康も、ひとりも知らないナカタネとクリソとメット。かろうじてわかるのは手塚治虫と赤塚不二夫か?大ピンチである。大丈夫か野研の若者たちよ。

しかし、まあこれはこれで、孫にはなす日本昔話みたいなものかもな。なんだかんだ朝鮮戦争や映画の話とか沖縄の話とか、いろいろな話題で盛り上り、気づいたら2時間ほどおしゃべりしてた。ダイビングが好きで、若い頃に海に潜って魚をとっていたというので、夏に一緒に行くことになった。

というわけでそんな黒田征太郎もビックリの、めっちゃ面白いライブペイントを企画したい。

花の街

カンヒザクラはヒカンザクラ 
寒緋桜と緋寒桜 どちらも同じ緋色の花
春をつたえる赤い花


スズカケノキはプラタナス
ひとはだれもただひとり旅に出て
そこにはただ風が吹いている 思い出のうた

カノープスは南の星
全天で太陽とシリウスの次に明るい恒星
節分の時期に現れる 龍のまなこ


カワセミは川辺の宝石
翡翠の光は虹とおんなじ構造色
七色の谷を越えて流れて行く 風のリボン

2023年2月2日木曜日

もうすぐ春

春の日のうららにさしてゆく船は棹のしづくも花ぞ散りける

数年前に源氏物語を読んだときから、春のうつくしさが一層心にしみるようになった。
「カンヒザクラをみにいこうか」
ヒガンザクラのことかと思ったけれど、寒緋桜と彼岸桜はどうも別の花らしい。

久しぶりの太陽が眩しい。外はずいぶん暖かいので、手袋を脱いでバッグにしまった。
競馬場の横を紫川に向かって歩く。
去年の10月にリヤカーを引いて歩いた道だ。あのときは黄色い落ち葉で覆われていたけれど、今はトゲトゲの小さな黒い実がそこら中に落ちている。
「鈴懸の木だよ。鈴がかかってるみたいだから」
スズカケ、なんてかわいい名前!
「この川沿いにずらっと桜が咲くの」
「この川は木の橋が架かってたらしい」
ときどき渡るそよ風に春のにおいがする。
歩道がないので、通りかかる車を避けるのがおっくうだ。真っ直ぐ並んだり広がったり、3人で歩くのはなんだか難しい。というか人と歩くのは難しい。人と話すのも難しい。
できるだけ誠実に喋ろうとしているのに、言うべきことや言わないでおくべきことが分からなくなって、口がうまく回らなくなる。人に言われた小さなことに、いたく傷ついて動けなくなる。わたしは一生こんな具合なのかな。

ぴぴぴぴぴ、鳥の声が遠くから聞こえる。
「カノープスって知ってる?2番目に明るい星。あんまり有名じゃない、南半球の星なんだよね。毎年この時期に見に行こうとして、まだ見れてない」
田んぼをつぶしてつくった閑静な住宅街を眺めながら歩く
陽光がジリジリと膚を焼くのがわかる。たまらなくなって厚いコートを脱いだ。4月のエルサレム、十字架を負って歩いたキリストもこんなふうに太陽を浴びたのだろうか。
南方に入る。
隠れキリシタンの処刑場を過ぎて、縦列駐車の列。そのうしろにカンヒザクラの木々。
花はまだ咲いていなかった。
「ひとこと転ぶと言えばよいのだ」


川端に腰を下ろしてお弁当を食べる。
「夏前には、行くと思う」
ぼんやり、門司港のはなし。あしたはまべをさまよえばカボチャラダムスに会えるかも。
「カワセミだ」
視力の良くないふたりのために、鮮やかなお腹を見せて飛んできてくれる。
「つがいかな?」
「かもね」
がじはクラムボンを知らなかった。

「怪しいアンティークショップにいこっか」
吉野家の前を左に、大きな道路を渡ると「アンティークショップ ビスケット」の色あせた看板が目に入る。深緑に塗られたシャッターは閉まっているけれど、2階には電気が灯っている。
「いらっしゃいませ」
ガラスを模したドアノブをひねると、赤いエプロンの店長さんが迎えてくれた。マントルピースの造花、立派な鏡に重なった松ぼっくりのリース、あちこちに下げられたオーナメントボール、窓に掛けられた小さなヴァイオリン、花飾りのついたシャンデリア、壁を埋めつくす絵画や展示のポスター。ピアノの前の席に着いて、そのひとつひとつをじっくり眺める。なんてかわいいんだ!
「ジブリの猫のなになにみたいだね」
「あの猫の名前、なんだっけ」
ひっそりとした雰囲気に、自然とささやくような声になる。ばらの香りの紅茶を飲んでいる間に、店長さんが薪ストーブに木を焚べてくれた。あたたかい。
お庭もすてき



早く春にならないかな。寂しい秋よりも明るい春が好き。「はる」っていう言葉のひびきが既にかわいい。梅、桜、藤、山吹、ミモザ、ネモフィラ。目白、燕、鵯、雲雀。蓬や土筆や苺を摘みたい。筍も掘ってみたい。あたたかい春の山に登りたい。つめたい春の海に浸かりたい。芝生にねころがって眠りたい。春、たのしみ。

小籠包

2023年1月19日木曜日

研究会と新年会

 

冬にしては暖かく、どこまでも青い空が続いていた日だった。

 

1人で門司港に向かう電車の中、自分の今の生き様についてempty、空であると日記に綴った。ただただ揺られながら、流れる窓の外の山々を見ていた。

 

岩田さん宅に着くと、海の近くに住む民族の研究者たちが各々の研究について熱く語っていた。私の隣には、少しも逃すまい、というようにカタカタとパソコンでメモを取る研究者。発表者の発言にうーんと声を出して反応する研究者。大雨の降る研究地からzoomを繋いで発表する研究者。知らない言葉、難しい言葉。

 

そして最後の研究者が発表を終えて、いよいよ新年会の幕開け。準備のために台所と広間を何度か往復した。岩田さんちの暗くて長い廊下には大きな鏡がある。1人だと少し怖かった。

 


鏡を通り過ぎると、ふすまがあってそこを開ければみんなとお料理が待っている。かまのお鍋2個にお刺身の盛り合わせ3台と魚づくしでかなり豪勢。みんなで料理を楽しみお酒を交わした。

 

研究者も岩田さんもみんな海外に住んだ経験のある人たち。私の右の研究者が「日本を飛び出してみるもんだよねえ。なんとかなる。」と言うとみんな大きく頷いて賛同した。

 

自分の訪れた国での出来事や文化の話をして共感しあったり驚いたり笑ったりして、あっという間に時間が過ぎていった。みんなの話は面白かった。大學堂や北九大のことを良く言ってくれる優しい人たちだった。終電の時間が近づいてきたからかえるくんと2人で帰った。

 

イルミネーションが門司港の木々を飾っていた。お昼は暖かったといってもやはり冬だ。日が沈んだ夜は寒い。深夜の車両には2人だけだった。貸切だねと笑い合った。お互いの好きなものの話をしたりして小倉に帰って行った。

私の心は行きの電車よりもずっと暖かく、満たされていた。




 はんざき

2023年1月11日水曜日

映画と講演ウィーク1/18-24

 来週の野研と北九大は、映画と講演ウィークです。すべて北九州市立大学A101大教室が会場です。皆勤賞を目指してぜひご参加ください。

■1月18日(水) 18:00-19:40 文化資源調査隊「語られる戦争、つなぐ平和 北九州平和のまちミュージアムの挑戦」講演:重信幸彦ほか @北九州市立大学本館A-101 要予約無料


■1月20日(金)18:00-21:00 北方シネマ定期上映「水になった村」講演:大西 暢夫監督 @北九州市立大学本館A-101 一般1200円/学生500円



■1月22日(日)11:00-12:45/14:00-15:45 小倉昭和館特別上映「ワン・セカンド:張芸謀監督」講演:竹川大介 @北九州市立大学本館A-101 一般1000円/学生500円



■1月23日(月)10:40-12:10  どうぶつのみかた特別講義「琉球諸島の世界自然遺産」講演:伊澤 雅子 いのちのたび博物館館長 @北九州市立大学本館A-101 予約不要無料



■1月24日(火)13:00-14:30 人類学概論特別講義「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」講演:森達也 監督 @北九州市立大学本館A-101 予約不要無料

2023年1月8日日曜日

鬼夜

人生において
大切なことの多くは
一期一会である

たとえ目の前にあっても
のがしてしまったものは
もう手に入らない


たまたまその場所に
いられるかどうかは
偶然ではなく
直感である

直感を磨くためには
経験しかない


 そういう循環の中で
フィールドのセンスは育っていき
人生は回っていく

旦過市場のアートプロジェクト

 タイ人アーティスト ナウィン・ラワンチャイ クンによる旦過市場のアートプロジェクトがはじまった。



ほかのアーティストの仕事を見ると自分達がしていることがよくわかる。彼の作品の中には私たちの奥能登や旦過と共通する要素がたくさんある



アート集団の野研もコラボレートして作品を作りたい。