電車に乗っているのは、自分とピンポン、きぞく、ダダ。もうちょい多いと思ってた。
カボチャドキヤに行く前に少し寄り道していこう。
商店街でパンを買い、中央市場でアナキズムを感じたあとは、どこに行こうかな。
建築家に会いに行こう。急だけど、怒りゃせんだろうと踏んで電話をかけた。
老松公園の慰霊塔に下る坂道を逆に上ってゆくと、右手におでん屋「なんしよん」が現れる。
そのままなんしよんの横を通り過ぎると、大雄寺という寺の駐車場が左手に現れる。
その駐車場の後ろを通る石段を歩いた先に、建築家は住んでいる。
手のひらほどの大きさの角材に油性ペンで「神崎」と書いてある簡素な作りの表札。
木目のわずかな凹凸が字を震わせている。
ひとりで改装している小屋の中で、建築家は近所の人と鍋を食べたりしている。去年の秋ぐらいから、月に一度の催しを開いている。私たちがタウンパレードをおこなった日には、ここで桜の写真の展示会が開かれていた。
小屋を出て、裏道を通ろう。
裏道を抜けたら、山道を歩こう。
スチャラカ世界への入り口がまたひとつ閉じた。ナマケモノたちは享楽を求め旅に出る。風に乗った笛の音は、雲と混じり、陽の光を浴びて虹色のハンミョウへと変身する。入り口は閉じたのではなく、遠ざかり、散らばっていったのだ。
過去にハンミョウに導かれた人々に芽生えた感情は星となった。大きさも色彩も等級も異なる星々が、三輪車を夢中で漕ぎ、カボチャ王国の萃天を突き抜け、宇宙へ向かって飛び出していた。さらに、星は星であるだけに留まらなかった。星は船となり、16の船から成る船団が生まれた。船団が運ぶのは人々ではない。人々の心に湧きあがった感動が、各々の手で具現化されつつある状態の原始星を運ぶのだ。現在の船団は魚座とアンドロメダ座を繋いでいるが、近いうちに、新たな航路が開拓されようとしている。
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