日田の映画館、リベルテでウルフウォーカーを観た。面白い!次々に展開する深い物語とその世界観に圧倒された。登場人物の心の葛藤と、自然の脅威におののく人間たち。今、世界の環境や人間社会のことを考えるのなら、精霊と人が出会っていた時代の、その原点に戻るべきだ。人によって作られた神が現れるまでは、オオカミこそが大神だった。オオカミが多くの西洋の童話で悪として描かれている理由は、オオカミは人間社会の外部の存在とつながっていたからだったのだ。
多くの示唆に富むこの映画。動物好きも人類学者ももちろん一般の人も子供もぜひ観るべき。観て物語に込められた、数多くのメタファーについて語りあおう。
先日の「海獣の子供」にせよこの「ウルフウォーカー」にせよ、優れたアニメは作られている。でもちまたで話題になるのは、なぜかどうでもいいアニメばかり。私にとってではなく、人類にとって、どうでもいいっていう意味だけどね。
あ、リベルテも良い映画館でした。
https://child-film.com/wolfwalkers/
せっかくなので、ちょっとアフタートークを。犬の家畜化の問題との関連を考えると、オオカミの存在は人間にとって非常に象徴的だと思いました。
キリスト教の中で(ともに家畜化された)ヤギとヒツジが悪魔と人間の象徴として語られているように、犬とオオカミは、それぞれヒトの世界と、ヒトのおよばないカミ(キリスト教の神ではなくアニミズムの精霊ね)の世界の象徴なのかもしれないと思いました。日本語ではまさにオオカミです。
オオカミとは人智がおよばない外の世界の象徴。そんな外部を失った今の私たちは、貧困で孤独です。
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