2020年4月14日火曜日

究極のマテ貝狩人集団とその戦法

まず、マテ貝狩りの基本装備を紹介する。
1目立ちやすく濡れても汚れてもいい服
2しゃがんでもおしりが見えないズボン
3脱げにくく滑りにくいサンダル
4大量のチープな塩
5塩が一度にたくさん出やすそうなドレッシングボトル
6塩をボトルに入れるためのファイルや、ろうと
7足を洗う水
8飲み物
9マテ貝を入れるバケツ
10軽くて彫りやすそうな鍬っぽい何か

最高の潮干狩りにしたいなら、これから説明する職人たちは欠かせない。
今回、私は見習いとして、彼らの仕事に密着した。

穴師。大体は掘り師の資格も持っている。穴場を見つける慧眼が必須。生まれ持ったセンスと経験を使った感覚派と、統計学とかなんか色々を学んで活躍する理論派がいる。彼らは筍狩人集団でも活躍する。そのため、彼らにとって春が一番の書き入れ時である。私はまだまだその眼が養われておらず、悉くマテ貝に弄ばれた。


彫り師。穴をつぶさず、水を溜めない掘り方を極める。一級建築士と同じくらい試験は難しいらしい。他の穴場との間合いや穴の出てきかたによって彫り方を絶妙に変える。まさに頭脳戦であるだけでなく、ひたすらに掘り進めないといけない開拓使でもあるため、体力も必要である。

塩師。ボトルに入った塩をいかに正確にマテ穴にかけられるかが勝負。最小限度の塩でマテ貝を狩るため、待つ力も試される。また、ボトルマスターの資格を持ってないと試験が受けられないため、初心者が大体やらかしてしまう、ボトルの先を水につけることは絶対にしない。塩師でない人は、一つの穴を真っ白にしてしまうほど塩をかける。ボトルと塩についての知識・技術は料理にも活かされるため料理人が取りやすい資格でもある。

ボトルマイスター。大袋に入った塩をボトルに入れる作業を効率的に行う。この仕事は集団でマテ貝狩りをするときに欠かせない。この資格を持っていない人は大量の塩を無駄にしてしまう。しかもこの作業は、ボトルの先に水がつく塩師の禁忌を破る可能性もあるため、慎重に行わないといけない。すぐにテンパる私は、穴師がとっておきの穴場を見つけると早く塩を補給せねばと焦ってしまい、いくらか塩を無駄にしてしまった。

出てるやんおじさん・出てるやん姐さん。彼達は、縁の下の力持ちだ。せっかく穴師が穴場を見つけて、掘り師が開拓し、塩師が適量の塩をふりかけても、マテ貝が現れない時がある、しかし、時間がたつとぴょこぴょこ出てくる場合がある。その隙を見逃さず、大量ゲットをすることもある、ダークホース的存在である。

大体のマテ貝狩人集団はこれらの職人で成り立つが、苅田では、新たな職人を発掘した。オッテー君である。アッシー君ではないが、迎えに行く。彼らはマテ貝を待たない。自らの手で掘り起こすのである。しかし、これには忍耐力とパワーが必要である。あと執念。どれが欠けても職人にはなれない。

さて、次に戦法だ。今回は手練ればかりで本気の戦闘。
今回は彫り師真打の緒方さんに話を伺った。
「戦法は主に2種類あります。一つ目は団地。漁場を長方形に彫ります。二つ目はデザイナーズマンション。これは、鍬の刃の長さ分だけ彫って、団地のように広げるのではなく、少し間をあけて新しいマンションを彫ります。そうすると、一通り開拓した後も同じ場所でもう一度彫っていない間部分を掘ることができます。」
そう言いながら、新規開拓を進める緒方さんの彫る穴は真っ直ぐで綺麗で彫りも浅く、芸術的であった。

見た目はアレだが、砂抜きもいらず旨味たっぷり。殻が脆いので流通しにくいとされるマテ貝。君もマテ貝をとってみないか!食べてみないか!さあ、お出かけだー!




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