2022年9月1日木曜日

屋久島のお茶園

 初めて屋久島を訪れたのは去年の春だった。
防衛大を辞めて消沈していた私に、健吉さんが遊びにおいでと声をかけてくれたのだ。

健吉さんは私の母の兄の奥さんのお父さんにあたる人で、私はそのときまで彼の存在も知らなかった。ともかく屋久島でお茶を作っているらしいとだけ聞いて島に遊びに行った。

初めての大川の滝

春は茶摘みの季節。わずかな晴れ間を縫って(今回の旅は信じられないほど晴れていたけど)たくさんの畑を走り回って、タイミングをはかりつつ茶摘みをする。

空港に着いて早々、迎えに来てくれたハイエースは茶畑へ走り、自己紹介もそこそこに私もお手伝いをした。お茶の間の狭い道を分け入り、木に絡みつく雑草を抜く。大きな機械で刈り取ったばかりのお茶の葉からは、青くて鋭い匂いがした。

遊んでもらった

「フッコちゃん、よく来たねえ。」
常に酔っ払っているみたいに喋る健吉さんの目は、奥の方できらめいている。
「18歳か!ぼかァもう81だよ。逆だよ。」と嬉しそうに何度も言いふらしていた。



そういうわけで3回目の来島。無事に大学に合格し(この後また島に行った)、試験を終え、19歳の夏休みを迎えた。
屋久島では異国のような岩山が変わらずそびえている。

お茶園の人たちとコスモスで待ち合わせて、案内してもらう(知らない間に空港の周りはドラッグストア激戦区になっていた)。迎えに来てくれたのは、社長の広安さん、足立夫妻、その娘さんの純得さん。

松峰大橋を通って、まず平内中央の畑に向かう。開墾し始めた新しい畑だ。
お茶を植えるために、地面に埋まっていた岩をひたすら掘り出して運んでいる。
一帯に紅茶を植えるつもりらしい。




じりじり照り付ける日差しの下、広安さんから改めて深山園の話を聞く。


「深山園はもともと、東京の方でお茶を売っておりました。それがこういうご時世ですので、東京の店をすべて畳みまして、従業員全員でこちらに参りました!今は販売はすべてネットでやっております。売れに売れて生産が追い付いておりません。みなさんぜひ屋久島に働きに来てください!」

次の畑に向かう。
紅茶の畑は摘む前から甘い匂いがする。

 

3年目の畑



新人茶畑




お茶の木が地面に根付くまでは、水撒きをたくさんしないといけないらしい。
4,5年すれば収穫できるようになる。

スーパー林道という謎の道を走り、次の畑に向かう。
深山園が一番最初に開墾した畑。後ろにシンボルツリーが見える。
木の下でお昼のおにぎりを食べた。





全部書いていたらきりがないので、省略。

みんなが種子島へ発つ前の晩、お茶園のみなさんとFarewell Partyをしたのでした。
川の横の草むらを開いて、流木やら石やらを持ってきて、即席のぎゅうぎゅう会場。煙すごいし。
実は、出発前は健吉さんが変なことを言わないか心配していた。案の定だった。でもみんな普通にしているので何だか本当におかしくてずっと笑っていた。ありがとう。
めちゃくちゃな健吉さんをみんなに引き合わせられて満足。
そしてめちゃくちゃな野研がお茶園のみなさんの肝を抜いてくれてとても嬉しい。
ちくわくんも成仏できてなにより。



みんながフェリーで旅立った後。トビウオの姿揚げを食べました。









                                   小籠包


0 件のコメント: