誰もいる気配のない部屋の前に立っていた。
巣を剥がされたミノムシが、行き場もなく固まって死んでいる。
かつて、地下の掲示板にはおびただしい数のチラシが貼られていて、手前の小さい机には自作の冊子やパンフレットが置かれていた。サークルや部活の勧誘に、イベントの告知。新しいチラシを貼りに来た人が、どれを取り外そうかと迷っていた。シミュレーションゲームのように、
色あせてしまったものや、バーコードがかすれてしまって読み込めないものもあった。ちと画風が古くないか、この団体は今もいるのかな…と思わせるものがいくつもあった。どこかに所属しようとは思っていなかったが、乱雑に散りばめられた紙切れを眺めるのは、わりと楽しかった。
後ろから聞こえたのは、はんざきの声。「まだだれも来てないんかな~」と話しながら部屋の扉を開けると、職員が倉庫から長机を出していた。
17時まで部屋をつかうことを伝えて、電気のスイッチの場所を教えてもらった。部屋の隅に座っていると、奥の扉を開けて、皆が入ってきた。
部屋を余すところなく使う
2枚の紙をくっつけることからはじまる
ゆがまないように
こちらは切る作業
0 件のコメント:
コメントを投稿