2018年9月24日月曜日

海の蟷螂

波にもまれながらも、繰り返し繰り返し海に向かう蟷螂。古人ならば、屹然としたそのいさぎよさに心うたれ、その死をきっとなにかにたとえるだろう。


しかし私たちは知っている。ハリガネムシに寄生され、脳を冒されたカマキリが、入水することを。ハリガネムシが自分の卵を産ませるために、カマキリを水辺に向かわせることを。


しかも、そこは淡水ではない。海に放たれたハリガネムシの卵は、決して生き残れないだろう。


死を讃える美徳の正体は、このような狂気である。脳を冒された国の行く末が、破滅であることも、すでに私たちは歴史から知っている。

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