2020年12月6日日曜日

青ヶ島記(大介03)

 幻のお酒として知られる青ヶ島の青酎の造りを見せてもらう。造りのプロセスもその多様性も、私がこれまでみてきた、さまざまな蔵の酒造りとはかなりちがっており、見ること聞くこと驚くことばかりだった。麹づくりも醪づくりも仕込みも独特の技術がこの島には残されている

種麹は用いず、オオタニワタリに付着させた麹カビを使いまわす。蔵付きの自然の麹なので様々な色の麹カビが生えている。ベースは黒麹と黄麹というが、この麹は緑がかった色をしてすでに胞子が出ている。酵母も蔵付きの自然の酵母を用いている。

元来、青ヶ島での酒造りは女性の仕事であり、女性の名が杜氏として記されているのも興味深かった。

戦前戦後の酒税法によって全国でお酒の自醸文化が消されていくなかで、この青ヶ島だけが税務署の目がとどかず、古来の酒造りのスタイルが残ったのだと思う。

村で酒造会社を設立し、そうした各家の酒の造りを今に残している島の人たちの努力も特筆すべきことだとおもう。青ヶ島の青酎は、日本の貴重な文化財である。



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