迷い込んだ海岸では、太陽とかくれんぼする人たちと何やら忙しげに動く人たち、そして、ミカエル様がいた。
あたりが暗くなり始めたころ、
よせてはかえし、
パチパチ、パンッ、ボフォー。
形を変えながらあたりを照らす。
二つのアルケーがこの日、ある悲劇を呼び起こした。
夫テゼーが留守の間、継子イポリートに恋心を認める妻フェードル。打ち明けられた乳母エノーヌ、知ってしまったイポリート。
皆死んだ。妻も継子もかなわぬ恋によって。
愛の女神に憎しみを買っていたこの家系。フェードルとイポリート。テゼーに対する反逆者一族の娘アリシーとイポリート。皆タブーとみなされる欲望に突き動かされる。
テゼーもついにアリシーを養子に迎えた。
エディプス王というギリシアの戯曲ではエディプスは母イオカステーと結ばれ、父ラーイオスを殺した。(最後イオカステーは死にエディプスは自ら盲目になる。)
対し、このフェードルという戯曲では、子は母とは結ばれず、父も殺されないどころか、父は生き子と母が絶命。
皆情熱的に生き。
皆死ぬ。
罪悪感か、運命か。
法や義務は人を縛るか。
法や義務は人を生かすか。
情熱的に燃え、そして、立ち枯れた一本の大天使がニヤリと笑いかけた。ような気がした。
0 件のコメント:
コメントを投稿