2017年5月7日日曜日

春を味わう


ものづくり豊の会主催の、新緑を愛でる会に行ってきた。野草をとったのはひとくわ農場というところで、調理と食事は豊の会が所有する民家のようなところ。
あてにしていたきぞくカーがでないと前日に知り、慌てて電車を調べる。城野から20分、「そんなに遠くないじゃん」と思ったが、駅からひとくわ農場までが長かった。
徒歩1時間ならお散歩がてら、と歩いたのだが、道は続く。


特に、もぐさんの家がある通りに入ってからが長かった。ひたすら上り坂、のぼりきったら終わりが見えない直線道路。幸い雨には降られなかったものの、少し予想外の距離。

朝が早かったこともあり、ごはんも食べずヘロヘロになった私たちが見つけたのは、道端の野いちご。この通りは大当たり。右に群生、左に群生。とても甘い、しかも粒が大きい。場所によって味が少しずつ違う。時間に遅れぎみだったのだが、こんなすぐ近くにボロボロ実ったものを無視することなんてできない。あっちへフラフラ、こっちへフラフラしながら道をすすむ。初めてひとくわ農場の看板が現れ、砂利道に入り最後の50メートルになってから、優しい車のお姉さんに拾われ、私たちは到着した。結局1時間半ぐらい歩いた。


 到着するとすでに人々は野草取りをしていた。前に比べて、親子連れが増えた印象。
毎年のように参加しているであろう、子供の野草熟練度がとてつもない。見つけるのも早いし、どの部分まで食べられるのかまできちんと知っている。ワラビはワラビ、かと思いきや茎が赤っぽいものは「ムラサキワラビ」。来たばっかりで見つけるのが遅いおねえちゃんたちに、容赦なく厳しい声がとぶ。


「ほら、ここにあるじゃーん!なんでこんな簡単なの見逃すーん!」


わらびの次は、ひとくわ農場のいっきさんのお家の裏に生えているユキノシタをとる。一株植えたら、それがどんどん広がっていったらしい。日陰のひんやりする裏手、全面がユキノシタに覆われていた。

そして、最近の野研の活動などについてお話していると、いっきさんが「スタートライン」を最近みたという。北方シネマかと思いきや、元からよく東田シネマの方に行かれるということだった。次回、抗いも予約済み。自分も何かしたいという気持ちから、近いうちに手話を始めたいといっきさんは言っていた。


ユキノシタ。日陰、水のあるところを好む。天ぷら。

野草取りの合間に、大学生名誉挽回のチャンス。子供がとれないところにある天然甘夏をとってあげる。ひとくわ農場には、自分たちで植えた甘夏もあるのだけれど、この木はなんと鳥によって運ばれてきた、何なのかわからない木である。柑橘ではあるのだけれども。植えた木とは違い、柑橘系にみられる鋭いトゲがちゃんとついていた。


このあと、お決まりの「俺もやる俺もやる!」の流れになる。

ここで、ひとくわ農場での野草取りはほぼ終了。
いっきさん手作りの薬草茶(どくだみ、ビワの葉他)と、差し入れの手作りパウンドケーキで一休み。薬草茶は、毎年自分たちで葉を摘んで乾燥させて作り、少しずつ飲む。とても良いものなので、もったいなくてお店なんかには出せない。その薬草効果だろうか、いっきさんご夫妻はどちらもお肌がかなりすべすべだった。

その後、会場を移動し調理に入る。今回は、かなり裏で準備が進められていたようだ。前は自分たちでもっと何種類か収穫したが、私たちが次の会場に着くと、すでに多くの野草がボウルに入れられ並んでいる。ご飯系、おかずもすでに調理済みのものが並んでいた。あとはもはや、天ぷらを待つくらいだった。

オオバコ。公園の隅とかに平べったく生えている。
相撲や占いをする葉っぱ。天ぷらにする。

レタスとハコベのサラダ。彩り鮮やか、スナップエンドウが甘い。

サラダのための手作りドレッシング。どれもペットボトルに入っていることから、すべて手作りだと推測するが、誰の手作りかわからず。

アカザ、シロザ。今回はあまり取れていなかったようだ。

茶の木。おすすめ天ぷらのネタ。苦味がまたおいしい。

クズ。天ぷら。揚げると、中がもちっとしている。

柿の葉。まだ柔らかい葉を天ぷらでたべる。パリパリした食感と、あっさりした風味でいくらでも食べられる。これも天ぷらおすすめ。

山菜おこわ。

ヨメナ飯。
私はヨメナ飯が好きだ。山菜おこわも捨てがたいが、ほのかな塩味とヨメナの風味が互いに主張しすぎず、おいしい。ヨメナのみ、おひたしで食べると苦味を強く感じたが、ヨメナ飯にするとそれが緩和され、ちょうどよく楽しめる。

おかずの目玉はやはり天ぷら。屋台のように天ぷらコーナーが設けられ、自分の食べたい野草を選んで揚げてもらう。

天ぷらは大人気。常に人が集まり、交互にオーダーをする。始めは適当に揚げられたものを好きな人がとっていくという形式だったため、ちょっとしたバーゲンセールのようになっていた。ツワモノに負けじといぼりも食いさがる。

子供達もなんども並ぶ、野草バイキング。ここでネタを選び天ぷらにしてもらう。

以下、天ぷらを待つ野草たち。
名前を書いたふだとかがあると、何度も確認できて良いと思った。葉っぱ系を食べ比べたいが、その場だけでは名前と味がなかなか一致しない。「あの、さっき食べて美味しかったアレはなんの葉っぱだっけ」ということがよく起こった。

にんにくの芽。つぼみを開くとにんにくの匂いがする。

タラ。トゲトゲが、凶悪そうだと思ったが、新芽の部分なので柔らかい。

うど。だったと思う。タラ、うど、セリ、ふた文字の野草が並ぶと混乱してしまう。
それぞれ、「ああ、ウドってこんな野草なんだ」と思う。うどかタラか、どちらかは苦味が強いと感じ、どちらかは独特な味だと思った。

山椒。すぐそこに生えているものをもぐさんがちぎってどんどん持ってきた。油が高温すぎると、焦げの味が強くなるが、うまく揚げると口の中に山椒の香りが広がる。とてもおいしい。味というより、風味を楽しみたくていくつも食べてしまう。

何かわからない野草。サラワクで食べていたワラビ系の野草の葉っぱもこんな感じ。
日本だとワラビって春だけで、そのへんに生えているといいつつもそんなに目にしない。しかしサラワクでは、ワラビは何種類もあり、どれもまさしく雑草並みにその辺に生えている。キャッサバ(タピオカ)並みにお手軽食材だった。

ここに来て目玉の、花。これを天ぷらにします。

あげるとこうなる。ツツジの花は、中心部が甘酸っぱい。この前ビンビンが「これ、食べられるよ」と言ってツツジを生で食べていた。ビンビン、くれば良かったのに。いっきさんも野草の儚い花を愛する人だったし、生のツツジはどうかと思ったけど、天ぷらはとても美味しかったよ。

ビワの葉茶。きれいなオレンジ色をしていた。

会も終わりに近づいたころ、参加者の方の家の裏でタケノコ掘りをするというのでお邪魔した。電気、ガス、水道なしの自然暮らし。あたりは田畑、後ろは竹林、庭にはティピーですぐ目の前には川が流れている。


この自作ティピーには、夏になると子供達がキャンプをしにやってくる。天幕をはってテントになるのはドームと同じ。高さは約8メートルで、かなり大きく見える。長野のアソビズムや、先日大學堂にやってきて、夏に子供達とスター★ドームを建ててキャンプをしたいといっていたおじいさんを思い出す。
タケノコはもうかなり竹になっていたが、山ほどとって帰宅の途につく。あれだけザクザクとったタケノコも、もう終わりに近い。旬ってあっという間だった。

このティピーの裏でタケノコを掘った


(てらす)

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